さて、最後の法則は今までのものと違って少し難しいものです。
ただ、これができれば、漫画賞を受賞できるレベルだといっていいと思います。
5までの法則が理解できてから6を見てみてください。
制限をつけて、開放させる、それは話に起伏をつけ、盛り上がらせる技術です。
やり方はこうです。
法則2の「問題の解決」に「制限」をつけます。
問題が解決できない理由をつけるといってもいいです。
そして、解決の際に「制限」を取り払います。これが「開放」です。
制限にはいろいろな種類があります。
たとえば
勇気がない
謎が解けない
あいつが来ない
など、ある理由で問題が解決できず、読者にもどかしい思いをさせるのです。
いざ問題の解決を前にしたとき、制限があるせいでとても困難な状況になります。
読者のもどかしさがピークに達します。
そこではじめて法則3のきっかけを与えて制限を取り払います。
勇気が出た!
謎はすべて解けた!
悟空がとうとうやってきた!
あとは問題を派手に、気持ちよく解決するだけです。
読者は安心して主人公の活躍を楽しむことができます。
これが開放です。
例を見てください。
込み入ってきたので、コマの横に説明を書いてみました。
わかりやすくするために話の基本構造、法則1・2・3に絞り、
そこに制限と開放を入れています。
どのように制限するか、
いかに困難な状況にするかで面白さが変わってきます。
これはコツですが、制限が精神的なものだと、
読者の共感を呼びやすく、より盛り上がります。
「自分の力が信じられない」→「信じることで力を発揮」
「人を傷つけるのがイヤで力を出せない」→「怒りで力を発揮」(るろうに剣心パターンですね。)
上の例もそうなっています。
と、ここまで説明してきましたが
実は法則6はこのままでは不完全です。
このままだと、主人公は急に本来の力を出しているので
説得力に欠けます。
なので、このようにする必要があります。
紫字で設定を追加しました。
読者には彼が「できる」ことを事前に知らせておかなくてはならないのです。
実は
元FBIとか
金田一耕介の孫だとか
サイヤ人だとかいう設定ははそのためにあるのです。
手元の漫画を見てみるといいですよ。
どの部分が制限で、どこが開放なのか、発見できると思います。
この構造で、「設定をエピソードで見せ」、
キャラクターを強化すれば、
立派な漫画になるのです。
とはいえ、この法則は実際漫画にしてやってみると難しいと思います。
雑誌に載っている新人の読みきりでもできていないことが結構あります。
やってみてわからなくなったら気軽に質問してください。
さて、これで6つの法則を紹介し終えました。
あなたは包丁を握ることができました。あとはどう料理するかです。
これらの法則はオリジナリティや個性を邪魔するものではありません。
誰も教えてくれない話の作り方の基礎の基礎です。
私も最初はテンプレ的なものに反発してきました。
独自のものを作るんだと意気込んでいました。
でも、これらの法則は物語のもっと深いところにあるもので、
守ったからといってオリジナリティが損なわれるのもではありません。
漫画は画面をコマで割って、吹き出しをつけますが、それに従ったからといって
オリジナリティが損なわれるでしょうか?
しないですよね。
それと同じです。話というものの形式に近いものです。
ぜひ活用してみてください。
そして、実際の制作の段階では、6つの法則はどこからか考えてもOKです。
トリックを思いついたところから考えてもいいですし
世界観でもかまいません。
スタートはどこからでもかまわないのです。
そこに6つの法則を当てはめて、時にはからめて
構成していけばきっと面白い話を作ることができます。
がんばりましょう!
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